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腸内マイクロバイオームは、中枢神経系と消化管の間に存在する腸脳軸の主要な部分として脚光を浴びています。 健康に対しても疾患に対しても、その影響は計り知れません。 そこで、バイエル社とカリフォルニア工科大学の専門家の方々に、2023年9月20日のCASウェビナーに参加していただきました。
ヒトのマイクロバイオータは、よく「忘れられた臓器」と呼ばれ、主に細菌、ウイルス、原生動物、真菌、古細菌からなる大きな集合体です。 最大100兆個もの細菌細胞が存在し、その規模は人間の体細胞の数に匹敵します。
腸と脳との間に存在する絶え間ないコミュニケーションをはじめ、多数の生理学的プロセスにおけるこの隠れた生態系がどのような重要な役割をはたすのか、最新の動向を明らかにします。 さらに詳細な技術的詳細や洞察については、ACS Chemical Neuroscience誌に掲載された最新の論文に基づいた、包括的なCAS Insights Reportをご覧ください。
ウェビナーの主なハイライト
今回のディスカッションの導入として、まずジャネットにより、この新しい科学分野の現状説明がありました。 公開された文献や知的財産からマイクロバイオーム研究で進展があることが示唆される中、腸脳軸がどの疾患に関与するかについては、その理解に相違があります。 臨床的での状勢を深く掘り下げることにより、マイクロバイオームにおけるキープレイヤーをはじめ、治療戦略、そして将来のマイクロバイオーム操作にむけて焦点が当てられている治療領域などが明らかになっています。
そしてラミー・アマー博士により、腸と脳の発生学的起源に関する詳しい概要のプレゼンテーションがありました。 次に、腸脳軸の複雑さと機能、そして腸の健康が脳機能にどのように影響するかについて説明されます。 さらに、腸脳相関障害の治療状況に関する説明のあと、パーソナライズされた治療計画にAIを利用することなど、この治療領域の今後の展望についての話がありました。
最後の講演者はサルキス・マズマニアン博士で、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連した腸脳軸の最新の研究を紹介しました。 それは腸内微生物の代謝産物、4-エチルフェニル硫酸についてで、ASDではそれが上昇すること、およびその作用機序に関する説明がありました。 そして、ASD患者に対して低分子薬剤AST-120(バクテロイデス・フラギリスを増加させる)の使用を調査するための概念実証臨床試験の研究が紹介されました。
締めくくりに、参加者から幅広い質問が寄せられました。そこでは、自己免疫疾患やアレルギー等の疾患と医薬品が、腸内マイクロバイオームにどのような影響を及ぼすのかといったことから、腸内マイクロバイオームが血液脳透過性にどのような影響を与えるのかなどの質問が登場しました。 まとめると、このパネルディスカッションでは、腸脳軸がもたらす有望な可能性が浮き彫りになりました。また、それがいかに健康改善や広範囲にわたる疾患の治療に応用できるかの理解も進みました。
ウェビナーの動画や関連スライドは、こちらでご覧ください。