従来の資金源には限度があり、学術機関や企業などは研究開発でパートナーシップを組むことが増えてきました。 その結果、知的財産を収益化し、複数のチャネルにまたがって研究発表を行うことへのプレッシャーが高まっています。 学術機関が一流ジャーナルに研究成果を発表するばかりでなく、そのパートナーである企業もまた、発明を市場に参入させる可能性のある国々では特許を取得します。
これはつまり、ジャーナルはもはや最新の学術研究の一番最初のアクセスポイントではない、と言うことです。 むしろ、今では新発見は何よりもまず、通常は研究発表を開示する前に出願すべき特許文献に見いだされます。 そうとはいえ、一般的に特許を見つけたり理解することは困難であり、研究環境の評価を求める人々にとっては死角となっています。
特許とジャーナル論文の検索ギャップを克服
コンテンツと検索性の点においては、ジャーナル論文と特許ほど違いの大きいものはありません。 ジャーナル論文の目的は、知識を伝え、他の研究者や出版物にその引用を奨励することです。 そのため、ジャーナル論文は、説得力のある見出し、主だった内容の要約、および研究の目的と影響を伝える詳しい例を用いて、読者を引き付けるように構成されています。 これら特定の詳細のために、ジャーナル論文は検索では幾分見つけやすくなっています。
これとは反対に、特許は研究の起源、条件および商業的可能性を保護するために、重要な詳細事項については控えられているケースが少なくありません。 特許庁では表題と抄録を明確にするための規則がありますが、経験を積んだ弁理士は、最小限の情報開示で最大限の範囲の保護を得られるような方法で発明を説明します。 法的な観点からは価値あることかもしれませんが、検索の観点からは特許は面倒な点があります。 さらに、特許は複数の言語で公開されているため、この情報へのアクセスはもっと複雑です。
これらの課題があるため、最も熟練した研究者でさえ、必要な情報を特許から見つけることは困難です。 また新化合物やコンセプトの開示においては通常特許が最初の出版物であることを考慮すると、世界中の最新科学情報にタイムリーなアクセスを必要とするイノベーターにとって特許の検索性の低さはまさしく障害です。
特別なツールを使ってギャップを埋める
通常の検索エンジンでは複雑な科学情報の取得や精選ができないため、このような検索の隙間を埋めるには特別なツールが必要となります。 たとえば、ヒアルロナンヒドロゲルについて、特許 (WO2017191276) と ジャーナル論文の両出版物を見てみましょう。 どちらも同じ執筆者ですが、表題と要約はかなり異なります。 特許の抄録には特化されていない検索エンジンではほとんど検索不可能な化学構造が記載されています。
ACS Biomaterials Science & Engineering学術論文の要約では、記載のされ方はかなり異なっています。
本研究では、トランスグルタミナーゼ架橋ヒアルロナン（HA-TG）ヒドロゲルによる軟骨病変の治療の可能性について調査を行った。 ハイドロゲルが次のような重要な要件を満たしていることが示された：同時注入が可能、速ゲル化、カプセル化細胞と生体適合性がある、マイトジェンである、軟骨誘導性をもつ、天然軟骨に対し安定性のある強力な接着結合を形成できる。 HA-TGゲルにカプセル化したヒト軟骨前駆細胞は同時に良好な増殖と軟骨形成を示し...
Google Scholarで「トランスグルタミナーゼ」と「ヒアルロナンヒドロゲル」という用語で検索すると、3750件もの回答が出てきます。 検索結果として、ジャーナル論文が1ページの3番目に表示される一方、特許は最初の10ページにも表示されません。 CASのSciFindernで同じ検索を行うと、その結果6件が表示され、これにはジャーナル論文と特許も含まれています。 またジャーナル論文と特許が、引用物質をいくつか共有していることも明らかとなります。 ジャーナルでは索引付けされたものが10件、特許には48件の引用があり、6つの物質が両文献に表示されています。
この精確で効果的な検索は、特殊テクノロジーとCAS科学者の持つ専門知識のユニークな組み合わせで実現します。CASの専門家らは増え続ける大量の出版物の科学コンテンツを念入りに調べ上げ、これらを有意義な方法で分類することで検索性を高め、できる限り精度の高い結果を提示できるよう取り組んでいます。
SciFindernでは、ジャーナルと特許をくまなく分析し、表題と要約についても必要に応じてリライトし、原本よりもさらに使いやすい情報を提供しています。 実際、より優れた検索経験を確実にするため、特許の表題と抄録については95％、CASがリライトしています。 関連コンセプト、訴求、化学構造、事例、CAS Registry Numbers® も開示されます。 さらに、SciFindernでは、世界63カ所の特許局からの特許文献の表題と抄録の英訳版を提供しています。 特許検索の際に障壁となることの多い言語の問題を解決することによって、SciFindernを利用している研究者は、世界中で起こった新発見を容易にモニターし、アクセスすることができます。
ジャーナル論文と特許の違いは広範囲にわたるため、この範囲によって検索方法が影響を受けることに疑いの余地はありません。 ジャーナルの論文や特許を精選するために統一されたアプローチを提供できるツールは、検索のギャップを埋め革新を推進するための鍵となります。
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