CAS、化学安全性ライブラリーについてPistoia Allianceとの提携によりラボの安全性の強化に取り組む

新しい契約では、Pistoia Allianceが化学コミュニティー向けに創設した重大な安全性に関するリソースを拡大するために、CASの情報管理機能を活用します。
 
オハイオ州コロンバスおよびマサチューセッツ州ボストン(2020年6月23日) - 米国化学会の情報サービス部門CASと、ライフサイエンスの研究開発におけるイノベーションの障害の排除に取り組むグローバルな非営利会員組織Pistoia Allianceは、CASがPistoia Allianceの化学安全性ライブラリーの開発とホスティングを実施する契約を締結したことを本日発表しました。化学安全性ライブラリーは、コミュニティー参加者が収集した有害反応の事故に関するデータベースで、そのプロタイプは2017年にPtoia Allianceにより始められました。Bristol Myers Squibbが提出し、Pistoia Alliance会員(Bayer Pharma AG、Bristol Myers Squibb、Glaxo Group LTD、Merck Sharp & Dohme Corp.、Merck KGaA,、Pfizer Inc.、F. Hoffmann-La Roche)が資金提供したイニシアチブをもとに、このデータベースには現在、業界、学会、政府団体より1,000人以上の登録ユーザーが存在しています。 

「F. Hoffmann-La Rocheは、長期にわたり創薬研究開発における前競争的コラボレーションを支援してきました。各種業界間のデータ共有によるラボの安全促進は、その素晴らしい実例です。」と、スイスのバーゼルにあるロシュイノベーションセンターの医療科学部門長であるトーマス・ウォルタリング博士は言っています。「当初はPistoia Allianceの会員企業数社による互助努力から始まったものが、より広範囲の化学コミュニティーに広がるのは、非常に喜ばしいことです。この提携でCASが提供する専門知識は、サービス自体を大きく強化し、この重要な取り組みのリーチを広げることでしょう。」

化学安全性ライブラリーは、ラボでの実体験に基づく有害反応情報を機密を確保しつつ収集、共有できる科学者向けのレポジトリを提供します。化学業界全体で安全性を向上して事故を減らすことが目標です。Bristol Myers Squibbの研究開発部門IT担当バイスプレジデントのアラステア・ビニー氏はこう言っています。「従業員と研究者の安全がBristol Myers Squibbの最優先事項です。 最初のプロジェクトはBristol Myers Squibbにおける同原因の事故の排除と安全性向上のために設計されたものですが、化学安全性ライブラリーは、Pistoia Allianceと会員企業の管理のおかげでグローバルな研究コミュニティー全体に向けた重要な安全性情報源へと成長しました。 今後もCASの管理の下で、この重要な業界データベースが発展を続けていくことを期待しています。」 

このイニシアチブにCASとPistoia Allianceが取り組んでいる理由は、重大な安全性データを広く共有することが化学コミュニティー全体の安全性を高めることになると信じているからです。
CAS社長であるマヌエル・グズマンは次のように語っています。「情報の共有には、イノベーションで重大な業務に取り組んでいる研究者の安全確保以上の目的はありません。Pistoia Allianceおよび広範囲にわたる化学コミュニティーと提携することで、化学安全性ライブラリーを拡大、強化し、重要なリソースに各組織が自信を持って効率的に情報を提供および活用していただけるようになるでしょう。」この提携契約ではCASが開発した新しい登録および検索インターフェースで強化した後でも、科学コミュニティー全体は化学安全性ライブラリーを無料リソースとして引き続きご利用いただけます。 
  
Pistoia Allianceは、CAS独自の科学情報管理の専門知識と技術的能力を理由に、CASに委託しました。利用可能な最大の化学反応の収集コレクションを含む高品質の化学的データベースの構築と管理に1世紀以上の経験を持つCASは、化学分野における確固たる地位と権威を有し、この重要なデータのセキュリティーを守りながら共有し、効率良くデータ登録とアクセスができると安心できます。
 
「Pistoia Allianceの化学安全性ライブラリーを信頼して任せられる相手として、CAS以上の組織は考えられません。この重要な取り組みへの協力に合意していただき、非常に有難く思っています。」と、Pistoia Alliance社長であるスティーブ・アーリントン博士は述べました。「化学安全性ライブラリーは、Pistoia Allianceの取り組みの中でも最重要なものの一つです。会員の皆様も相当の関心を持って動向を注目しています。今回の提携はあらゆる研究分野にとって多大なメリットになると信じています。CASはこの種のデータリソースの管理には高度な専門知識を有しているため、この提携を通じて化学安全性ライブラリーが進化、発展を遂げることを期待しております。」 

化学安全性ライブラリーに収集された有害情報は、一般に無料公開されています。また、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が主催するオープンな化学情報データベースであるPubChemにもアップロードされているので、利用しやすくなっています。化学反応に関する事故の情報は誰でもデータベースに追加でき、その内容はCAS、ACS、Pistoia Allianceの経営陣および参加企業ならびに外部の専門家から構成される諮問委員会で監査されます。国際純正・応用化学連合(IUPAC)事務局長であるリチャード・ハーツホーン教授は、「IUPACはこの取り組みを全力で支援します。利用可能になり次第、国家、企業、個人会員による安全性に関するリソースへのデータ登録と利用を推奨する予定です。」と述べています。   
  

CASについて

科学情報ソリューションを専門とする米国化学会の一部門であるCASは、世界のR&D組織のパートナーとしてイノベーションを計画し、確信し、保護する為に役立つ実行可能な洞察を提供し、新しい市場と機会の進化の予測を助けます。科学者、特許専門家、ビジネスリーダーが発見と戦略を支援するためにCASのソリューションとサービスに依存しています。110年以上の経験を通して、CAS以上に科学情報を熟知している機関はないでしょう。詳しくは www.cas.org/ja をご覧ください
 

Pistoia Allianceについて

Pistoia Allianceはライフサイエンスの研究開発におけるイノベーションの障害の排除に取り組む、ライフサイエンス関連企業、技術/サービスプロバイダー、出版社、学術団体から構成されるグローバルな非営利会員組織です。イタリアのピストイアで開催されたコンファレンスに参加したAstraZeneca、GSK、Novartis、Pfizerの代表者により2007年に考案され、2009年に株式会社になりました。同社のプロジェクトは、前競争的コラボレーションを通じて研究開発を変革します。根本原因の特定、標準規格と最良事例の策定、前競争的データと知識の共有、技術的指導の導入により、一般的な研究開発の障害を克服します。会員企業は現在150社を超えています。Pistoia Allianceのオープンなイノベーションに向けた証明済みのフレームワークを活用し、世界中のライフサイエンス研究開発コミュニティーに多大な価値をもたらすプロジェクトに、会員企業が協力して取り組んでいます。


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