ワクチンは毎年何百万人もの命を救っています。 深刻な病気の予防を大規模に行える予防接種プログラムは、20世紀の公衆衛生における最大の成果の1つです。 組換えDNA技術と高度な多価ワクチンの出現、画期的な癌ワクチンのおかげで、この分野の技術革新の範囲は拡大し続けています
世界保健機関によると、世界の予防接種率は約85％です。 ワクチンの臨床的効果が大きく、発展していることを考えると、世界市場はこれまで以上に収益性が高くなっています。 Evaluate Pharmaの最近のレポートでは、2017年の世界のワクチンの売り上げは277億ドルに達し、2024年までには驚くことに446億ドルに達すると予想されています。 この予測の劇的な成長の大部分は、新しいイノベーションに起因するものと考えられます。 たとえば、Research and Marketsの要約では、がんワクチンの市場機会は2025年までに150億ドルを超える可能性があると予測しています。
このブログの寄稿者でもあるCAS情報科学者のインツー・リー博士によると、 この成長分野は多くの貴重な投資機会を提供しているとのことです。 しかし、市場が急速に拡大し研究開発をめぐる状況が急速に変化しているため、研究の影響を最大化するためのリソースをどこに割り当てるかの判断は、困難になるケースがあります。 投資について最善の決定を下すには、現在の市場動向を明確に把握する必要があります。
CASは中国科学院国立科学図書館とのコラボレーションにより、この複雑な状況の詳細について概要を伝えるホワイトペーパーを作成しました。 このブログではその主旨に注目し、この成長分野の膨大な可能性を現実のものとする洞察の活かし方をご紹介します。
世界のワクチン市場の発展
ワクチンの世界市場を見ると、過去30年間で研究開発が急速に成長しています。 CASに登録されたワクチンに関連する物質数は着実に増加しています。ワクチン関連のジャーナル記事と特許出願の量も同様に増加し、2017年末までに15万件以上のジャーナル記事、14万8千件の特許出願が公開されています。
研究成果が世界中で堅調に伸びている現状では、ワクチン市場には大きな商業的可能性が約束されているようです。 グローバル市場の詳細は、事業の機会を特定し投資の判断する上で役に立ちます。 たとえば、研究成果の傾向が国によってどのように異なるかを調べることで、イノベーションのホットスポットを特定し、市場に参入する有望な分野を予測し、研究を進めるための潜在的な協力者を見い出す方法に注力することができます。
ワクチンの研究開発の世界的な状況を見てみると、ワクチン関連のジャーナル記事や特許申請を行っている主な組織のほとんどは米国にあり、その他中国、フランス、英国、日本、ドイツも主要な貢献国となっています。
ワクチン革新で最も有望な分野はどこか
異なる市場セクター間の研究開発活動のバランスを見てみると、有望なイノベーションの分野が浮き彫りとなり、新しい投資機会を特定する上で参考となります。 世界のワクチン市場で最大のセクターは何でしょうか。 興味深いことに、がんワクチンは比較的新しい治療アプローチですが、現在物質数の点では最大クラスのワクチンであり、CASに登録されているワクチン関連物質のほぼ半数がこのカテゴリーに分類されています。
2010年に前立腺がんの治療に認可された最初のがんワクチンであるSipuleucel-T（Provenge）がFDAによって承認されて以来、このがんワクチンに対する関心の高まりは勢いを増してきました。 それ以来、がんの患者数の増加と、この分野の商業的可能性の高まりを反映して、がんワクチンの研究開発に大きな波が到来しました。 調査の上で最も有望な経路を見極めるには、特定の研究の注意を引いているのが、がんワクチン分野のどの領域かを調べるためもう少し深く掘り下げる必要があります。
データによると、がんワクチン特許の30％（9,000物質をカバー）が複数のがんによって発現した腫瘍関連抗原を指し、さらに特許の30％（5,900物質をカバー）が抗原送達または抗原提示を強化できるシステムに焦点を当てているようです。 他にも重要な研究開発の関心分野として、HPV誘発がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸がんなどがあります。 これらの高頻度に研究を行っている分野は、投資機会を評価する価値があります。
ワクチン市場は今後どのように発展しそうか
これまでに実証された臨床的影響を考えると、ワクチンは感染症の制御において重要な役割を果たし続けます。 特に、ワクチンは、HIVやエボラなどの病気と闘い、おたふく風邪、はしか、百日咳などの病気の再発を抑制する上で重要です。
ワクチンの研究が進むにつれ、治療の範囲はさらに非感染性疾患の分野にも広がっていきます。 がん予防接種の継続的進展に加え、アテローム性動脈硬化症やアルツハイマー病など、他の多くの疾患カテゴリーでワクチンの革新的用途が見られる可能性があります。 これらの新開発を予測することは困難な場合がありますが、全体的な状況を徹底的に把握することにより、機会が発生した際に特定が可能です。
ワクチン技術に関しては、組換えワクチン、作製ベクター、規定アジュバント、抗原送達および抗原提示技術への関心が高まる可能性があります。 また、研究開発の重要な焦点は、さまざまな種類の病原体から保護できる多価ワクチンに向けられることが予想されます。 技術革新もこれらの新しい開発のペースに影響を与えるため、ワクチンの革新に大きな影響を与える可能性のある薬物送達や製剤など、隣接分野の最新の進歩に遅れずについていくことが重要です。
ワクチンの将来性を活用
ワクチンの臨床的範囲がますます拡大していることを考えると、この分野には大きな可能性があるようです。 しかしこの複雑な市場動向と関連技術を密接に監視して、集中すべき最適なリソースを特定することが重要です。 最近公開されたホワイトペーパーは、この分野の大きな可能性に関する新たな研究開発の洞察について記載しています。 この貴重な情報にアクセスするには、レポート全文をご覧ください。 治療用抗体、融合タンパク質、遺伝子および細胞治療に関する他のホワイトペーパー、および生物製剤に関する概要レポートもダウンロードできます。
急速に進化する分野での最新の開発動向に注意するのは、困難な場合があります。 CASと提携し先行することで、研究や商業的な目標に対する戦略を確信を持って策定できるでしょう。
