特許調査 - 高度な検索で効率を向上させよう

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現在の情報化時代においては、研究者や法務チーム、そして企業にとって、包括的な特許調査は極めて重要です。 タイムリーかつ費用対効果の高い方法で関連文献を参照できなければ、残念な結果を招きかねません。 とは言え、徹底的な特許調査を行うのは困難で時間がかかります。特にリソースが限られている場合はなおさらです。 幸い、知的財産(IP)検索用に設計された高度なツールやテクノロジーを使えば、この負担は軽減され、また効率も向上します。 本稿では、さまざまなツールや戦略を活用することで、包括的な特許調査と、特許に関するより良い洞察の獲得を加速させるための以下のコツを解説します。

  • アドバイス1 - 専門家が精選した包括的なデータベースを使用する。
  • アドバイス2 - AIツールや精密検索技術を用いて検索方法を強化する。
  • アドバイス3 - 特許ファミリーの検索を最適化する。
  • アドバイス4 - 新規の特許出願や既存特許の変更に関するアラートを設定する。
  • アドバイス5 - 知的財産や自組織の専門分野に精通したパートナーと協働する。

アドバイス1 - 専門家が精選した包括的なデータベースを使用する

知財リサーチャーは、検索の包括性を確保し、関連する情報を確実に捕捉するため、一般的には複数のデータベースを対象に検索を行います。 検索結果は、専門分野、文献網羅範囲、そしてインデックスの付け方における差異によって変わってきます。 複数のデータベースを横断的に検索する強力な検索方法を用いれば、包括性を高め、結果セットを理解し、重要な文献を見逃すことなく必要な情報を得られるようにクエリを絞り込めるようになります。

CASができること 

CASでは、世界有数の出版社やデータベースが提供するコンテンツの包括的なコレクションを、単一のプラットフォーム、CAS STNext®としてサーチャーに提供しています。

CAS STNextには、科学者により精選された信頼性の高いCASの化学コンテンツをはじめ、特許情報および特許全文の包括的なコレクションや、化学や生物医学、薬学、知的財産そして工学の分野を網羅する130以上のグローバルなデータベースが統合されています。

サーチャーは、付加価値が付いたデータベース、フルテキストのデータベース、特定のテーマや機能に特化したクラスターを活用することで、それぞれの要件に合った包括的な検索方法を確立できます。

CAS STNextのユーザーは、CASが収集して精選したデータベースも利用できるため、精密検索が可能になっています。 例えば、化学の知的財産を調査する際、特定の分子に絞って検索することもあるでしょう。 しかしその際、マルクーシュ構造の特許請求項に隠された物質を考慮に入れているでしょうか。 知的財産を検索する際は、マルクーシュ構造を考慮に入れ、また十分に理解する必要があります。これは、一般的な省略記法の一種で、多くの構造的に類似した物質を簡潔に記述するために使用されるものです。

一般的な化学構造検索を行うと、異なる物質が何千もヒットしますが、検索しようとしている物質と正確に一致するのは一部に過ぎません。 特定の化学物質のデータベースに対して広範かつ一般的な検索を実行するときは、同一の化学物質に一致する結果のみが返されるため、マルクーシュ構造でカバーされる重要な特許請求項を特定できません。 CAS STNext内のツールを使用すれば、130万件以上のマルクーシュ構造を検索することができます。

アドバイス2 - AIツールや精密検索技術を用いて特許調査の側面を強化する

EPOによると、包括的な特許調査には、179のデータベース内の13億件の技術レコードが使用され、毎月の特許検索で約6億件の文献が参照されています。 そこで、最新で徹底した特許検索を可能にするソリューションが必要とされています。 高度な検索プラットフォームが利用可能でも、そのデータベースの機能は制限されています。 結局、包括的な検索を行うには、検索に多くの時間を費やすしかないのです。

AIアルゴリズムは、関連性のある結果なのに今まで見逃されていたかもしれないものを活用するなど、検索方法の側面を補強することで、効率を向上させることができます。

CASができること 
CASでは、独自にAI強化された先行技術検索技術を、CAS STNextにて提供しています。 弊社独自の特許類似性エンジンにより、指定された特許文献を開始点として、それ以前に発行された関連特許および非特許文献のリストが作成され、元の検索では登場しなかった洞察が提供されます。

CASのAI支援機能の例として、以下が挙げられます。ブラジルのNational Institute of Industrial Property(INPI)との提携により、CASは10個でセットになったAIベースアルゴリズムを開発しました。それらにより、高精度に順序付けられた先行技術の検索結果の統合リストが作成されました。 ブラジルINPIは、このようにAIベースのアルゴリズムを検索ワークフローに組み込むことで、特許検索の効率を次のように向上させることができたのです。

国内特許申請の処理の77%において、検索に要する時間が短縮された。 
この処理のうち29%は、AIによって補完された検索結果外の調査が不要だった。

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アドバイス3 - 特許ファミリーの検索を最適化する

特許ファミリー内の関連特許は、異なる管轄区域や地域で出願されたとしても、優先権出願(基本特許)によって結び付けられています。最初に特許出願されたものが、そのファミリーの優先日になり、関連特許のクレームと仕様の基礎となります。

特定の特許ファミリー内の関連特許の領域と適用範囲を理解することで、特許権者、特許申請者、使用許諾取得候補者は、ライセンスを求めるべきか、特許の有効性に異議を唱えるべきか、そして長期の研究開発イニシアチブにリソースを配分するべきかなどについて、十分な情報に基づいた意思決定を行うことができるようになります。 ただし、特許ファミリーの完全な調査には時間がかかり、困難も伴います。 これは、複数の管轄区域にまたがる出願の複雑さをはじめ、複数データベース間のインデックスでの不一致、言語の壁、そしてそのイノベーション自体が科学的に複雑であることなどに起因します。

ただでさえ複雑なこのタスクの難易度をさらに高めているのが、請求項におけるばらつきです。 一般的には、特許出願で最初に提示される請求項は、特許ファミリー内のすべての関連特許で同一です。 ただし、出願人と特許庁とでやりとりする審査過程において、審査官からの異議に対応するため、あるいは先行技術を克服するために、請求項が修正されたり、狭められたりすることはあります。 その結果、同じ特許ファミリー内の関連特許の請求項でも、審査後は互いに異なるものになる場合があるのです。

こういった課題を克服するため、特許サーチャーは、往々にしてキーワード検索、分類検索、引用文献検索など含む、複数の検索テクニックを組み合わせます。 また、特許の検索で利用可能なデータベースや検索ツールのほか、さまざまな管轄区域における特許法や規制にも精通している必要があります。 さらに、特許ファミリー内の関連特許をすべて特定できるよう、特許サーチャーは弁理士や技術専門家と協力することもあります。

CASができること

CAS STNextは、世界有数の特許ファミリーデータベースから信頼性の高いデータを提供します。そして、包括的な検索を確保するため、以下の機能も提供します。

  • マルチファイル検索機能
  • 簡単なコマンドで、該当特許と関連特許を含む、追加の特許ファミリーのレコードを検索
  • 操作しやすい画面による、特許出願内の請求項間の関係性を示す概要

CAS STNextでの特許検索に関する詳細は、こちらをご覧ください。

アドバイス4 - 新規の特許出願や既存特許の変更に関するアラートを設定する

米国特許商標庁によると、2020年に米国で出願された特許は646,244件にのぼります。 特許サーチャーは、投資市場の拡大や新たな競合相手への対応の必要性を示す革新的な進歩を見逃さないよう、新しく公開された特許文献を常に把握しておく必要があります。

高度な検索ツールに、検索条件に一致する新しいエントリーが追加されたらアラートを発信する機能があれば、特許の現状を常に把握し、反復的な検索プロセスを減らすことができるようになります。

CASができること 
STN IP Protection SuiteTMのソリューションには、保存されたクエリと一致する関連結果が登場したらアラートで通知するカスタムアラート機能があります。

さらに、STN IP Protection Suiteの一部であるFIZ PatMonでは、以下などの活動に対してもアラートを発信する機能があり、より効率的な特許の監視ができるようになっています。

  • 特許審査プロセス全体を通しての特許出願
  • 特許の有効性の変化
  • 国内または他の国での競合特許の登場
  • 関連特許の異議申し立てや取り下げ
  • 特定の国における特許付与

こういった機能により、組織内の全ユーザーが自分の設定した検索条件でカスタマイズされたアラートを簡単に受け取れるようになり、その結果、時間のかかる手作業による特許チェックの必要性が軽減されます。

アドバイス5 - 知的財産や自組織の専門分野に精通したパートナーと協働する

進化する知的財産検索の需要に対応し続けるのは、負担が重くなりがちです。 ここで遅れが発生すると、将来の投資決定に影響を与える競合他社の活動を見落としたり、会社の業績に影響を与える重要な文献を見落としたりすることになりかねません。

そんなときは、同じ業界の専門サーチャーと提携することにより、必要としているコンテンツや最も効率的に検索するツールにアクセスして、知的財産検索のニーズに対応した効率的な支援が得られるようになります。さらに、トレーニングや専門知識を通して、すき間があればそれを埋めることで、成功を確実にすることができます。

CASができること
CASのチームは、知的財産やさまざまな科学分野において、専門的な技術的知識を有しています。

弊社のチームなら、他者では不可能な情報も明らかにすることができます。

貴組織の検索ニーズには、是非CASとの提携をご検討ください。包括的かつ詳細な特許調査の実現をお約束します。

まとめ

  • 知的財産検索を実施し、最新の動向を常に把握することは、投資や新たな競合相手に対する意思決定を左右するため、あらゆる組織にとって不可欠です。 特許調査の効率を改善させるには、以下の方法があります。
  • 専門家が精選した包括的なデータベースを使用することで、複雑なデータの横断を簡素化し、コンテンツのソースの見落としをなくす。
  • AIを活用した検索サポートと他の精密検索ソリューションを組み合わせた方式を採用することを検討する。 AIは関連イノベーションを認識できるだけでなく、追加の用語や特定事項も識別できるため、より強力な検索方法を構築するのに役立てることもできる。
  • すべての管轄区域の類似特許を検出し、グローバルな網羅範囲を確実に把握することで、特許ファミリー検索を合理化する。
  • 新しいエントリーがクエリと一致する際に通知で知らせる高度な検索ツールを使うことで、常に最新の特許出願状況を把握する。 そうすることで、反復的で面倒な検索が不要になる。
  • 知的財産や貴組織と同じ業界の専門家と協働することで、特許調査のプロセスを合理化、強化する。 
     

STN IP Protection Suiteに関する詳細は、こちらをご覧ください。