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長らく待たされてきた3Dプリンティングですが、最近は組織や臓器、カスタマイズされた薬物送達、整形外科、バイオプリンティングなど、患者ケアを再構築する大きな力として台頭してきており、その可能性は計り知れません。 そこで、ハーバード大学とカーネギーメロン大学、そしてトロント大学の専門家の方々に、2023年5月4日のCASウェビナーに参加していただきました。
3Dプリンティング技術は、より正確な薬物送達システムによるオーダーメイド医療の開発だけでなく、機能的人体組織と臓器といった複雑な構造を精密に作製する新たな方法を提供することで、生物医学の分野に革命をもたらす可能性を秘めています。
創傷治癒、皮膚および血管の移植、最先端のナノファブリケーションや、3Dバイオプリンティングの手法を用いて作製された細胞外マトリックスタンパク質の骨格など、最先端の開発状況などを取り上げます。 なぜ生物医学における3Dプリンティングが、薬物送達、植皮、移植、臓器修復、そして将来の治療の形を作り変えるのか、その詳細は最新のInsight Reportで解説します。
ウェビナーの主なハイライト
今回のディスカッションの導入として、まずChia-Wei Hsu博士により、この新しい科学分野の現状説明がありました。 出版物と知的財産の動向では、4つの重要分野、つまり細胞組織、医薬品、整形外科、そしてバイオプリンティングで急速に革新が進んでいることが示唆されています。 この発展の鍵は、素材研究の増加と革新的な印刷技術であり、それらがこのユニークな可能性の原動力となっています。 合成、無機、そして天然と、各種素材にまたがる新素材の状勢は、進化が続いています。
最初に、Zhang博士により、プリントした構築物内の細胞の生存能力を維持できるクライオバイオプリンティングの技法の話がありました。 印刷は、正確な温度制御がされた凍結プレート上にバイオインクで行われます。 このクライオバイオプリンティング技法を用いることで、異なる細胞とバイオマテリアルでも全体的な細胞の生存率が維持されます。 さらに、凍結プレートにさまざまなノズルを用いることで、筋肉/微小血管ユニットや筋肉/腱ユニットを模倣する各種構築物を作成するという、垂直クライオバイオプリンティングの説明がありました。 クライオバイオプリンティングは、バイオメディカル関連のニーズに対して、将来3Dプリントによる細胞組織工学の短期的および長期的な応用への道を開きます。
Günther博士からは、バイオマテリアルシート押出用のマイクロ流体プリントヘッドの紹介と、細胞を載せて構成されたバイオマテリアルシートの例などの話がありました。 さらに、火傷した皮膚にハンドヘルド型の皮膚プリンターでバイオマテリアルシートを貼り付ける様子を披露したほか、皮膚組織のin-situ形成や、動物の皮膚にバイオマテリアルと細胞をin-situに送達する様子なども紹介しました。 このin-situのマイクロ流体プリンティング技巧により、創傷治癒プロセスが促進されることが示されました。
Feinberg博士のプレゼンテーションでは、まずやわらかい素材の3Dバイオプリンティングに関する例がいくつか紹介されました。 博士のプリンティング技巧であるFreeform Reversible Embedding of Suspended Hydrogels (FRESHTM)法についての説明がありました。これにより、人間の心臓弁、マルチスケール血管系、およびヒト心管を構築することができます。 FRESH法では、患者のニーズに応じて、体積筋肉喪失 (VML) の際、高精度に印刷された骨格を作ることができます。 同博士の研究は、さまざまな用途に応じてマルチスケールの血管構築物を作製するという、3Dバイオプリンティングを用いた組織作製がいかに進歩してきたかを示しています。
最新トレンドを発見したり、新たな関連性を特定したり、また3Dプリンティングが患者ケアをどう変容させているのかといった状勢の確認など、3Dプリンティングに関する詳細はInsights Reportをダウンロードしてください。 ウェビナーの動画や関連スライドは、こちらでご覧ください。