研究開発におけるダークデータ - ナレッジマネジメントで隠された価値を掘り起こす

Jennifer Sexton , Director/CAS Custom Services

cas data space knowledge management

研究開発におけるダークデータ - ナレッジマネジメントで隠された価値を掘り起こす

ダークデータとは、ガートナー社によれば、「組織が通常のビジネス活動において収集、処理、保管するものの、一般的に他の目的に使おうとしない情報資産」と定義されています。そこにどんなデータが存在するか、またはそれにどうアクセスするのかを誰も知らないため、存在するはずの洞察も闇のままになってしまうのです。

研究開発(R&D)チームは膨大な量の複雑なデータを長期間にわたり蓄積しています。このデータを正しく活用すれば、意思決定の改善やイノベーションの推進に役立つ豊富な情報となる可能性があります。 しかし、検索するにも制限があるような、複数の分断されたデータベースシステムにデータが区分化されてしまうこともあり、そうなると本当に必要なデータにアクセスするのは非常に困難になり、また時間もかかるようになります。

CAS知識管理の図
図1:構造化されていないアクセス不能なデータは、将来の発見を促進させるための活用ができない 

事実上、自社のデータを自社の研究者から隠すことになり、不必要に実験を繰り返して、時間とコストを浪費することにつながります。 データが隠れてしまうことに加えて、現在のデータ管理システムでは内部データと外部ソースとを接続させるのに困難が伴う場合があります。これは、より包括的で完全な知識管理を実現する機会を逸失することになります。

推定によると、組織に保管されているデータの55%がダークデータとされます。 にもかかわらず、世界中のビジネスおよびITのエグゼクティブとマネージャーの約90%が、今後成功するには、どの組織もこの非構造化されたデータから価値を抽出することが必要だと言っているのです。

要するに、このまま情報を収集し保存し、そして使わないまま放置し続ければ、それはただのダークデータとして存続し続けるだけになる、ということです。 では、この貴重な研究開発データに光を当てるには、どうすれば良いのでしょうか。 以下に、隠れた可能性を引き出す方法をいくつか紹介します。

1. 最も価値のあるR&Dデータがどこに隠れているかを見極める

研究開発データがサイロで眠り続けないようにするために重要な最初の手順は、見つけやすくするために、どのデータコレクションに最も価値があるかを判断することです。実験結果と知見に、組織内の関係者が直感的にアクセスできるようにすることが重要です。

時間や資源を投入して収集しているにもかかわらず、将来にわたって再利用せずにダークデータとして保管されている知識はないでしょうか。 過去の実験データと研究結果に光が当たれば、賢い投資を進めることができ、また同じ実験を繰り返さずに済みます。

2. 知識管理戦略を通じてR&Dデータを可視化する

研究開発における知識管理には、情報の収集だけでなく、意思決定を導くための意図的なデータ管理も含める必要があります。 データは、検索可能になっていて、連携されていて、そしてアクセスしやすく体系化されている場合にのみ、それを役立つ知識に変換することができます。 常時使用されるわけではないデータでも、関連性がある際には発見できるようにしておく必要があります。

所有している洞察を活用するためには、R&Dデータを体系化するデータ管理フレームワークを構築するための、適切なITソリューションや専門知識が必要です。 そこで一般的な課題として、複数の情報源の中で、科学用語を一致させることが挙げられます。 科学的な文脈に一貫性がないと、データベース検索時に重要な情報を見逃す可能性があります。

CASでは、専門的な用語集、オントロジー、そして分類法と、独自の物質比較テクノロジーおよび科学者の専門知識とを組み合わせることで、科学用語の標準化を図っています。 これにより、研究者が必要とする重要な情報に、すぐアクセスできるようになります。

3. 体系化されアクセスしやすいR&Dデータをフルに活用する

良く構成され、そして容易にアクセス可能なR&Dデータは、効率を向上させます。 必要なデータの検索時間を短縮できるだけでなく、不要な実験の繰り返しも回避できるため、時間とコストの削減につながります。 また、戦略的な意思決定が加速化され改善され、組織の競争力を維持できることも大きなメリットです。

CASなら、単にデータを見つけるということから一歩踏み込みます。情報を、貴組織内部だけでなく、世界の科学情報とも結び付けます。 例として、このケーススタディをご覧ください。ここでは、あるカスタム知識管理ソリューションにおいて、組織内の文書がいかにCAS コンテンツコレクションTMや特定の業界で独自にキュレーションされたデータに安全にリンクし、そしてそうすることでそれが拡張されるか、つまり内部データがより堅固になるかがわかります。 内部で実施した研究のコンセプトも、世界中の類似論文や特許と結び付けることによって、トレンドや共同研究者、そして競合が特定できるようになります。

CAS知識管理の図
図2.組織の内部データと世界中で公開されている科学のデータとを結び付ける。

カスタム知識管理設計の実例

CAS Custom ServicesSMでは、既存データを構造化された形式で保存、そして接続するソリューションを開発しています。これにより、すべての従業員が価値ある研究開発データに直接的に、そして効率的にアクセスできるようになります。


弊社ソリューションで貴組織にどんなメリットがもたらされるのか
貴組織独自の知識管理ニーズにどうお応えできるのか、CAS Custom Servicesに是非ご相談ください。
 


CASは、組織のデジタル資産に対して、世界中の科学情報をキュレーションするのと同様のプロセスを用いることで、そのポテンシャルを最大限に引き出します。 弊社の知識管理ソリューションは、一般的なキーワード検索を超え、科学コンテキストを利用可能にします。 内部文書のキュレーションをし、それを関連付けして分析することで、これまで隠れていた文書の全文検索ができるようになるほか、類似したコンセプトや物質を関連付けたり、特定の発見に合わせてコンセプトを検索することなども可能になります。

組織内のデータを世界中の科学データと結び付けることで、意思決定が改善され、イノベーションのペースが上がり、そして貴組織のデータの価値も向上します。

知識管理の図1
図3. 洞察を引き出し、R&Dデータのポテンシャルを解き放てば、データドリブンな意思決定ができるようになる。

弊社の画期的な情報ソリューションが、大手医療機器メーカーにおいてどのように発見の推進に貢献したでしょうか。 詳細は、弊社ケーススタディ、『貴組織の研究開発データのポテンシャルを解き放つ - キュレーションとデータ接続で掘り起こす検索可能な洞察』をダウンロードしてお読みください。