ファーマのDX - デジタルソリューションで研究開発を改善する

Jennifer Sexton , Director/CAS Custom Services

Futuristic Technology Background. Outer Space, Alien Technology And Spaceship Concept

デジタル化ROIの最大化 - 製薬企業の課題

製薬会社は、新製品の開発、検証、マーケティングに平均10~15年を費やしています。 そんな中、最近COVID-19のパンデミックに対処するために圧倒的な速さでmRNAワクチンが開発されそして成功したことによって、そのプロセスを加速させるデジタルツールの潜在力が脚光を浴びました。 この大きな出来事のおかげで、製薬業界ではデジタルトランスフォーメーションを遂行し、各種プロセスに認知ツールを導入することに関心が深まったのです。 しかし、デジタル化は複雑で、達成が困難なときもあります。

ある程度デジタル技術を使用していると報告している製薬会社は約55%にのぼってます。 しかし、いくら賢いイニシアチブであっても、知識管理の専門知識やデジタルツールの使用経験が足りなければ、それは得てして疑わしい投資に変わってしまいます。 およそ70%のデジタル化プログラムが失敗している中、ファーマ企業は、競争優位性を確立し人生を変えるような医薬品を生み出すためには、デジタル化予算の投資先を見直して展開戦略を最適化する必要があります。

強固な知識管理や認知ツールと、そしてそれらがどう結びついているのかを深く理解することで、ファーマ企業はすべての段階におけるプロセスを変革し、より良いグローバル・ヘルスケアを確立することができるようになるのです。

デジタル化と知識管理 - データを全社規模でアクセスできるようにしてイノベーションを加速

製薬会社では、成分情報や処方と臨床試験データからはじまって、処理時間、製造、品質管理レポートに至るまで、大量の情報が生成されています。 こういった新しい文書は、既存のレガシー情報源やサイロ化されたデータベースを使うと、すぐに山積みになり、検索と取得が困難になってしまいます。 過去の実験結果は、構造化もハーモナイゼーションもされないままだと、組織の全知識の55%を占めると推定されている「ダークデータ」領域に埋没してしまうということです。

つまり、過去のデータにすべての部門が容易にアクセスできるようになってないと、以前の失敗を繰り返したり、すでに答えの出ている問題を再び調査したりするなど、しがちになります。 イノベーションを加速させ、製品の市場投入までの時間を大きく短縮させるには、デジタル化が鍵なのです。

いま製薬会社では、研究日誌やデータセット、報告書などの過去の文書を、接続された知識管理プラットフォーム内の検索可能な情報資産へと転換しているところがあります。 そうすることで、成分レベルの情報やサプライヤーの詳細、規制ガイドライン、またその他の科学情報やビジネス情報に、組織の人間全員がアクセスできるようになります。 また、これら企業の中には、この取り組みをさらに進めて、オンラインのユーザーインターフェースを導入してさまざまな部門や地域のチーム同士を接続させているところもあります。

このように、デジタル化も良く考慮して行えば、製薬会社は学際的な研究や国際的な共同作業を促進させながら、研究開発と製造、そして商品化をさらに促進、合理化と拡張ができるようになります。

医薬品開発の合理化 - 認知ツールで治療イノベーションを加速

デジタル化時代は、製薬業界に変革をもたらしています。いま研究者は、市場投入までの時間と安全性を向上させる画期的なツールを利用できるようになっています。

ファイザー社は、1年未満という期間でCOVID-19ワクチンを開発したことにより、製薬業界の中心に躍り出ました。 同社の労働力の効率には議論の余地がありません。ただ、その前例のないほど速い対応時間や競争上の優位性は、確立されたパイプラインに根差しているものであり、それはパンデミックのはるか以前から導入されていたのです。 デジタル戦略の先駆者であるファイザー社は、知識管理やデータ解析、そしてAIのイニシアチブが製薬部門にもたらす変革の潜在性を十分に理解していました。そして日常の業務に取り入れていました。

メガファーマには、数十年にわたる専門知識と研究データがあり、リード候補薬を最も安全な選択肢に絞り込むことができます。 例えば、AI主導のアルゴリズムと過去の臨床データを組み合わせることで、研究者は大規模な臨床試験を設計そして監督することができたほか、COVID-19の感染率に関するリアルタイムな予測モデルも構築することができました。 知識管理戦略とAIモデルは、ラボという物理的な枠組みの境界線を超えて、在庫予測やサプライチェーンの監視といったことまで可能にし、またワクチンの開発と流通、入手可能性を合理化しました。

バリューチェーン全体に導入された強固なデータ基盤と認知ツールによって、ファイザー社はCOVID-19ワクチンの開発競争で確実に有利なスタートを切ることができました。 最初の薬剤候補の選択から治療モニタリングにいたるまで、医薬品開発を加速させる認知ツールの威力は証明済です。 とは言え、AIの予測は、適切にキュレーションされ、クリーンで保護されたデータセットで適切にトレーニングが行われてこそ、はじめてその可能性を最大限に発揮できます。 ファーマの研究開発ワークフローにAIを導入または最適化するには、まず最初にデータと知識管理のインフラの質を評価する必要があります。

デジタル化とデータのセキュリティーで専有情報や患者プライバシー、研究の安全性を確保する

広範な各創薬段階や臨床試験を行ってきている製薬業界には、重要な製造プロセスや患者の健康情報などが蓄積されています。 これは、競合他社や悪意を持つ第三者にとって、貴重なデータです。 サイバー攻撃(約39秒に1件)や医療上の個人情報盗難(2019年では35%)が増加する中、製薬業界では強固なセキュリティ戦略の導入が急務となっています。

さまざまな報告書でもサイバー攻撃の主な標的は製薬会社であるとされており、しかもプライバシー侵害の53%が悪意ある行動に起因しています。 機密情報が、さまざまな部門やプラットフォーム、そしてソフトウェアに分散されていると、データ保護と安全な環境を確保するのは困難になります。 組織全体を網羅する知識管理インターフェースを導入することで、厳格なユーザーアクセス制御を実施し、データ漏洩を排除することができます。 製薬業界では、セキュアなチャンネルがあるクラウドベースの共同作業プラットフォームが多く見られるようになってきています。そこでは、研究者と臨床医は機密情報を安全に共有し、また機器破損のリスクも回避できます。 とは言え、サイロ化されたオンプレミスのレガシー ソリューションから、クラウドベースのプラットフォームやカスタマイズされたハイブリッド プラットフォームに移行する場合は、複雑であり、また導入に時間もかかります。 データを保護しながら、最新の知識管理エコシステムに効率的に移行するには、その分野に精通したデジタルトランスフォーメーションのパートナーとの協働を検討する必要があります。

ファーマのDX

デジタル化は、製薬業界を劇的に変革する可能性を秘めています。より優れた知識管理や加速されたイノベーション、そしてデータセキュリティの向上などを実現しながら、医薬品の市場投入までの時間を短縮できるようになるのです。 ただし、誤ったデジタルトランスフォーメーション戦略は、リソースの浪費とリスクの増大を招く恐れがあります。

製薬業界のデジタルトランスフォーメーションが進化を続ける中で、デジタル技術と認知ツールは業界のあらゆる側面に浸透し、その結果、より速い医薬品開発や、ますます多くの疾患に対して治療選択が拡大するなどの恩恵をもたらしています。 デジタルトランスフォーメーションは、サステナブルで責任ある、そして利用しやすい方法で革新的なヘルスケアのソリューションをもたらすことを目指します。

デジタルトランスフォーメーションとデータ管理の詳細については、CAS カCustom ServicesSMケーススタディをご覧ください。

Colorful background with laboratory utensils, samples of cosmetics and glass vials on pink background.

かつて、売り場のカウンターは数え切れない化粧品の山で埋まり、そしてそれらをつけるためには延々と続く手順が必要な時代がありました。しかし、そんな時代は終わりました。 ペースの速い今の社会では、消費者はひとつですべてをこなせる商品を求めているのです。

多機能コスメの登場

保湿もアンチエイジングもシミ取り効果もあるスキンケア製品であれ、縮毛補正と傷んだ髪のトリートメントもできるコンディショニングヘアマスクであれ、消費者は化粧品に今まで以上のものを求めるようになっています。 ところが、こういった需要があると、化粧品業界としては、複数の事項をまとめて対処できる製品の開発をし続けなければならなくなります。

そこで、キトサンやリグニンを含む多機能成分や、ナノテクノロジーの利用などの新しい送達システムといった最新の開発動向を把握することにより、フォーミュレーターは、変化が激しく、高需要のこの市場に革新的な製品を提供し続けることが可能になります。

ヒーロー成分

ペトリ皿に天然植物と美容製品を並べた、オーガニックなバイオコスメの健康コンセプトのイメージ

化粧品業界において、多機能コスメの処方に利用できる優れた道具のひとつとして、いわゆる「ヒーロー成分」があります。これらの成分は複数の効果を同時に発揮するため、わずか数種類の成分で複数の事項に対処できます。

化粧品のヒーロー成分には、一般的に以下が含まれます。

成分 ヒーロー特性
シアバター 抗炎症作用 
抗酸化作用
アンチエイジング
ココナッツオイル 皮膚バリアの修復
抗菌作用
抗炎症作用 
抗酸化作用
アンチエイジング
創傷治癒
ナイアシンアミド 抗炎症作用
抗菌作用
抗酸化作用
かゆみ止め
カフェイン 毛髪の成長促進
微小循環の改善
紫外線保護
抗酸化作用 
プロポリス 防腐作用
抗炎症作用
抗酸化作用
抗菌作用
創傷治癒

最小限に抑えた成分表や「クリーンコスメ」に対する消費者の関心が高まる中、ヒーロー成分は、化粧品のあらゆるニーズに単一成分で対処したいと考える人々に対して、売り込みやすいものとなっています。 これらの成分は処方の際に役立つだけでなく、その多くが「天然」または「クリーン」と見なされているため、マーケティング面で明確なメリットになります。

超強力なハイドレーター

栄養と保湿成分配合のクリームと透明なフェイスセラムのイメージ

ハイドレーターは、最も用途の広い化粧品の成分のひとつです。 この成分は、皮膚、髪、爪に潤いを与えるために用いられ、またそういった用途の多目的製品の開発にも利用されます。 ハイドレーティングセラムやオイルは、現在ハンドクリームやフェイス保湿剤、ボディ保湿剤、そしてヘアコンディショニングマスクなど、多くの製品をひとつで代替できる商品として販売されています。

このようにハイドレーティングつまり保湿の成分は、複数の身体部位を対象にできます。しかし、それだけには留まりません。 アンチエイジングや抗酸化作用、または抗菌作用などの多機能化粧品にも使用できます。 シアバターやココナッツオイルなどの植物油脂は、化粧品業界ではよく見られる候補成分です。 ところが、新たな研究で、キトサンという新規候補が見つかりました。

キトサンは、肌や毛髪に塗布することで保湿と保護効果をもたらします。 キトサンの効能には以下があると考えられています。

  • 保湿性
  • 皮膚軟化特性
  • 抗菌性
  • スキンコンディショニング
  • 紫外線保護
  • 抗酸化特性

驚異的な抗酸化成分

ガラスのボトルに天然植物と共に並べた、オーガニックなバイオコスメの健康コンセプトのイメージ

キトサンは抗酸化作用のある成分なので、今後はシアバターやココナッツオイルナイアシンアミド、そしてプロポリスなど他の化粧品の定番とされているものの仲間入りをすることになるでしょう。 各成分にはそれぞれ独自の多機能性があるため、抗酸化作用のある化粧品を処方する際には、広範囲な組み合わせが可能になります。

最近、抗酸化化粧品の候補として登場したものとして、リグニンがあります。 サトウキビなどの天然資源に由来するリグニンには特有の抗酸化活性があるため、化粧品への応用が期待されています。 2023年の研究では、リグニンがフリーラジカルを除去する能力は、化粧品の標準と比べて同じか、またはわずかに高いことが示されています。 この研究では、リグニンはUV保護だけでなく天然の化粧品顔料としても利用できることが示されたことから、将来のヒーロー成分としての可能性が浮き彫りになっています。

驚異的な日焼け防止効果

夏の海辺と日焼け止めクリーム

リグニンが持つUV保護効果の可能性は、その抗酸化作用に勝るとも劣らないと言えます。 強力なUV遮断剤であることが in vitroでも人間のボランティアに対しても証明されているリグニンは、UV保護効果のある多機能コスメにとって明るい将来をもたらします。 日焼け防止に関する助言が増加している中、消費者は皮膚に関する他の問題にも対処してくれるSPF(日焼け止め)製品を探すようになっています。

もうひとつ研究が進んでいるものとして、日焼け止めの配合にロスマリン酸を加えることが挙げられます。このロスマリン酸によって、抗酸化作用が加わるだけでなく、SPFが41%増加されることが示されているためです。 多機能コスメの処方を含んだSPFに対する主な障壁として、新しい成分によってその日焼け防止効果が損なわれてはいけないという点があります。そこでロスマリン酸のようにSPFだけでなく他の効果も増強できる成分は、フォーミュレーターにとっては絶好のチャンスなのです。

強力なシミ治療効果

フェイスケア用のセラムとオイルが入った複数のピペット

 

シミケア用の化粧品には、多くの場合、肌の保湿や創傷治癒、または抗酸化作用など、複数の機能が求められます。 抗炎症作用と抗菌作用のある成分は、ニキビ跡のシミの原因対処に役立ち、また創傷治癒や皮膚バリアの修復をもたらす成分は、傷跡を目立たなくするのに役立ちます。 このように、シミケアの成分には、その主な効能の中ですら多用途性が求められるのです。

化粧品業界では広範囲に及ぶ抗菌や抗炎症成分が使用されているため、フォーミュレーターにとっても活性成分の選択範囲が広くなっています。 シミ治療には、アロエベラやウィッチヘーゼル、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、そしてレチノールなどがよく使われており、保湿剤などの製品に抗菌・抗炎症作用をもたらしています。

ただし、活躍しているのはヒーロー成分だけというわけでもありません。 その成分の送達が革新的な方法であれば、その効能と持続性を高めることができるのです。 最近、皮膚に接触すると有効成分がゆっくりと放出されるよう、化粧品の抗ニキビ成分をナノベースで送達するシステムが開発され、これにより抗菌作用と抗酸化作用が向上することが示されました。

究極の処方

太陽の光を浴び美しくハイライトされたセラムのボトル

消費者が化粧品の使い方をますます簡素化させている中、化粧品業界は、もっと高度で多用途な処方を作り出すという課題に直面しています。 より多くの効能を化粧品の処方に詰め込むためには、ヒーロー成分を最大限に活用することで、開発者はその目標を達成できます。そして、この多機能コスメという新しい波の最前線に、その製品を留めることができるようになるでしょう。

キトサンやリグニンといった有望なヒーロー成分の研究開発に投資することで、フォーミュレーターは製品開発を推進することができます。また、ナノテクノロジーを使用した新しい送達システムを採用することで、既存の成分から従来以上の機能性を引き出すことも可能です。 多機能コスメに関する最新の研究動向を把握しておくことにより、革新的な開発を継続的に支え、また化粧品に対して消費者が期待する限界を突破することにもつながります。

貴組織が究極の処方を開発するにあたり、CASがどのようにお手伝いができるかについては、弊社がCitrine社と提携し、AIを使ってデフォーミュレーションをいかにして予測したかの詳細をお読みください。

植物由来の代替肉による持続可能性で環境に配慮

CAS Science Team

Close-up of burgers on table

個人的または健康上の理由により、消費者の食生活は変わってきています。同時に、よりサステナブルな食料を求める社会的な要求もあり、ここ数年で植物由来の代替肉は人気が急上昇しています。 この分野におけるイノベーションによって、代替肉の品質はどんどん良くなり、また今までにないほど多くの選択肢が生み出されています。その結果、多様性に富んだ競争市場が登場しています。

植物由来の代替肉に対する一般消費者の関心の高さは、その持続可能性が大きな要因のひとつとなっています。そこで消費者としては、自分の好みの食事体験を犠牲にすることなく、肉の摂取量を減らし、そして環境への影響を抑えることができるような代替品を求めることになります。 味や食感に対する消費者のこの高い期待に応えながら、高品質でサステナブルな製品を提供するには、製造業者はどうすればよいのでしょうか。

植物由来の代替肉はどの程度サステナブルなのか

サステナブルに放し飼いされた雄鶏が夜明けに鳴く

食肉産業が環境に与える負の影響に関しては、ずいぶん前から文書化もされ、また理解もされてきました。 家畜、および畜産業そのものによる排ガスは、グローバルな温室効果ガスの約15%を占めています。 この排出量は2031年までに9%増加すると予測されているため、食肉の需要を減らす解決策はこれまで以上に重要になっています。

植物由来の代替肉のイノベーションこそ、その解決策のひとつです。 炭素排出量だけを考慮した場合でも、植物由来の代替肉は、肉製品と比べ炭素効率が最大120倍高くなっています。 最近の2021年の研究では、植物性パテは牛肉パテよりも気候変動の負荷が77%小さく、土地や水の使用量をはじめ、富栄養化と酸性化も低くなることがわかっています。

植物由来の代替肉の持続可能性に対する主な批判は、食肉代替製品は植物性の自然食品ほどサステナブルではないかもしれない、というものです。 理屈としてはもっともではあるものの、代替食肉というのは、肉が好きな人にとって、植物性自然食品にいきなり切り替えるよりも達成しやすい行動様式の変化であるため、そこから徐々にサステナブルな解決策へと移行できるようにするためのものなのです。

切り替えることの意義

女性, ビーガン, 代替肉, キット食品

気候変動の危機に対する懸念が広まり、畜産が環境に与える影響の理解も進んでいるにもかかわらず、多くの消費者は、まだ食生活から肉をなくすことは難しいと考えています。 よりサステナブルでありたいと思うだけでは、肉食を減らすかまたは完全になくすという行動様式の変化を駆り立てるには、往々にして十分ではないのです。 そんなとき、この植物由来の代替肉こそ、この困難な状況を回避できる逃げ道をもたらします。

もし動物性の製品と似た味や食感になっている植物由来の代替肉製品を開発できれば、イノベーターは、いいとこ取りをした解決策を消費者に提供できます。 製造業者は、こういった「フレキシタリアン」層を標的にすることが鍵となります。完全にベジタリアン食に移行したくない消費者にとって、食肉の代替品は極めて好評だからです。 バース大学が調べたところによると、植物由来の代替肉や乳製品を摂取している人でも、その90%は依然として食肉を食事に取り入れていると報告しています。

消費者は、食肉摂取量の一部を植物由来の代替肉に置き換えることで、持続可能性の向上につながるという説明を受けています。しかし、これらの製品は、本当にそういった持続可能性をもたらすのでしょうか。 研究結果では、そうであることが示されています。 達成しやすい些細な変化であっても、それは環境に大きな影響を与えることができます。 ある研究によれば、ドイツの食肉消費量のわずか5%をエンドウ豆のタンパク質に置き換えるだけで、年間800万トンの温室効果ガスが削減できるとしています。

このようにして製造業者は、より環境に優しい未来に向けた道を確実に、しかも、大部分の人が受け入れやすい形で切り開いています。 イノベーションと、製品の持続可能性の向上を続けることで、製造業者は環境に対する消費者の目標にアピールし続けることができ、また植物由来の代替肉がもたらす持続可能性への投資を継続的に促すことができます。

どの植物性タンパク質を選ぶのか

マイクログリーンの苗

新しい食肉代替製品を開発する上で、どの植物性タンパク質を選ぶかは、特に重要になります。 タンパク源は、製品の味や食感、栄養価、そして持続可能性に影響を及ぼします。しかもこれらはすべて、製造業者が消費者に対してアピールしないとならない側面なのです。 消費者の需要が大幅に伸びていることから、植物性タンパク質の市場価値は2030年までに1620億ドルに達すると予想されています。 現在この巨大産業には、イノベーターが選択できるタンパク質の供給源として、確立されたものから、そうでないものまで、さまざまな種類が存在しています。現在および将来的に、それには以下などが挙げられます。

すでに確立されているもの 大豆
小麦
エンドウマメ
今後普及するもの(1~3年で消費者基盤が確立される見込み) トウモロコシ

ヒヨコマメ
開発中(3~5年で消費者基盤が確立される見込み) 菌類
アブラナ
将来の可能性(5年以降に消費者基盤が確立される見込み) 藻類
細胞性の代替肉

大豆、小麦、エンドウマメといったタンパク源は、低コストで供給に優れ、栄養価が高いというメリットから、この業界では最初に定着しています。 これらの長所を踏まえ、トウモロコシや米、ヒヨコマメ、菌類そしてアブラナなど新しいタンパク源では、機能性の向上に重点を置いて製品が開発されています。 そうすることで、開発者は消費者が求める味や食感の製品を作りやすくなります。

これをさらに一歩進め、将来は藻類や細胞性代替肉などを、これまでで最もサステナブルなタンパク源にすることを目指しています。 こういったタンパク質に対する消費者の意識はまだ変わる必要があるものの、これらは再生可能性が高く、環境への影響も極めて低いため、植物由来の代替肉の持続可能性を高めるものになっています。

将来の植物由来代替肉の持続可能性

木のテーブルの上に置かれた様々なスナックと美味しいベジタリアン料理の上からの眺め

植物由来の代替肉は、食の持続可能性の未来において重要な役割を担っています。 代替肉は、肉食の人が食生活を変えることなく動物性食品の消費量を減らす簡単な方法として、より多くの人が肉の摂取量を減らすことを可能にします。そして同時に、環境に劇的な影響を与えることができるのです。

この環境への変化が成功するかどうかは、企業が肉の味と食感、そして見た目を可能な限り模倣した魅力的な製品を開発できるかにかかっています。よりサステナブルな植物性タンパク源への研究が進めば、植物由来の代替肉の人気も高まっていくでしょう。 サステナブルな農業や、炭素排出の削減に役立つ肥料への新しいアプローチについては、サステナブルな農業に関する最近の記事をお読みください。

R&D Insights - 将来のためのサステナブルな触媒

CAS Science Team

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グリーンケミストリーは、グリーンな触媒から始まります。では、この新興の研究分野の最新の動向はどうなっているのでしょうか。 触媒はさまざまな業界、分野、研究開発のラボで不可欠なものです。そしてCASの最新のサマリーでは、新たな機会や課題、そしてイノベーションも見つかっています。 エネルギー、農業、製薬など、あらゆる産業において、これは持続可能性の指標を向上させる重要な要素となる可能性があります。

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大規模言語モデルは科学研究に適しているのか

Philippe Ayala , Data Science Technical Manager

Senior chemistry professor writing on the board

AIツールや専門アプリケーションではなぜ大きいほどよいとは限らないのか

2022年のリリース以来、ChatGPTはAIをめぐる議論を大きく変えました。 奇跡とも脅威とも言われ、仕事に革命を起こすとか、都市を活性化するなどのポジティブな見込みから、人間の仕事を取り上げるというネガティブな影響まで、この大規模言語モデル(LLM)は、ほとんど何から何までできるように言われています。

ChatGPTとGPT-3/GPT-4は何が違うのか

ChatGPTと、GPTに数字が付いたLLM(GPT-3やGPT-4など)には重要な違いがあります。 これらはよく混同されたり、同じ意味で使われたりしていますが、ChatGPTは、より複雑なLLM(GPT-3またはGPT-4)上で動作する「使いやすい」インターフェースを持つチャットボットのアプリ部分のことです。

GPT-3とGPT-4はGenerative Pre-Trained Transformerモデルの異なったバージョンを指しています。 トランスフォーマーとは、ニューラルネットワークの一種で、言語モデルと呼ばれています。 これらのモデルは、学習することにより、文章中の単語のように緩く構造化されたデータのパターンと文脈を認識できるようになります。 トランスフォーマーは特にそれが得意なモデルです。 生成モデルは、文脈が与えられると、プロンプトから任意の長さの出力を生成することができます。 そしてGPTモデルは、この2種類のモデルを組み合わせたものになっています。

一方、ChatGPTは、GPT-3やGPT-4などのLLMの上に乗っかるアプリです。 以前の会話を継続させるためのメモリーモジュールがあり、有害または不適切な回答を最小限に抑えるフィルターや分類機能なども内蔵されています。

chat-gpt-LLM

LLMの構築には何が必要か

LLMはなかなかのものです。 GPT-3には1,750億のパラメーター、つまり学習しながらモデルが独自に変更できる値の数が、それだけあります。 2023年に発表されたGPTシリーズの最新版のGPT-4では、さらに多い1兆個のパラメータがあります。 GPT-4の使用経験がある人なら誰もが知っているように、これらのモデルは驚くほど幅広い知識を持ち、首尾一貫した情報を生み出す驚異的な能力があります。

ただし、この能力には文字通りコストが伴います。 ますます規模が大きくなるGPTモデルをトレーニングし、そしてChatGPTのようなアプリを展開することは、とてつもないエンジニアリングの偉業と言えます。 GPT-3の構築には460万ドル、そしてクラウドでの運用には少なくとも年間8.7万ドルかかっていると推定されています。 GPT-4の開発費は、おそらく1億ドルかそれ以上になっているはずです。

上記の額に加え、ハードウェアの膨大なコストと、運用し続けるためのリソース、またデータセンターの冷却も必要になってきます。 データセンターは何十億ガロンもの水を使用することもあり、また空調は電力を消費し、排ガスに寄与するため、導入を検討する組織は、この強力なツールのコストとメリットを評価せざるを得なくなります。 この初期費用と継続的なコストのため、LLMはほとんどの民間企業、学術機関、そして公共機関にとってすでに法外に高額なものとなっており、今後もモデルの規模が拡大し、またより強力になるに伴い、この傾向は続くことでしょう。

LLMの限界

特定の構造コンポーネントのお陰で、トランスフォーマーモデルは異なる入力間の関係を捕捉し、そして膨大な量のサンプルテキストのお陰で、最新LLMではテキストの大まかな意味を抽出し、テキストの各要素間の関係を非常にうまく追跡できるようになりました。 GPT-3のような生成モデルでは、さらに一歩進んで、質問と回答の両方で、こういった関係を追跡することを学んでいます。 その結果は、多くの場合で説得力があるものになっています。 ChatGPTに0と100の間の数字を求めたり、コレステロールがステロイドかどうかを質問したら、おそらく正しい答えが返ってくるでしょう。

しかし、科学研究のような専門的用途の場合、大規模言語モデルでは、大まかな意味以上の、微妙な差異がある具体的情報を理解するのに苦労する場合があります。 それはどうしてでしょうか。 まず、LLMは「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる」の問題に影響を受けずには済まないということが挙げられます。 次に、高品質のトレーニングデータがあっても、関連するトレーニング情報が不足している場合があります。

広範囲で、頻繁に記述されるトピックはLLMで的確に捕捉される一方、範囲が狭く専門的なトピックは、ほとんどの場合不足しており、そこではそれほど的確に処理されません。 例えば、大規模言語モデルが適切な抽象レベルに達した結果、あるものがステロイド分子であるかを判断できるようになったとします。 同族の2種のステロイド分子を区別することさえできます。しかしどちらかが非常に有毒で、どちらかがそうでないかを一貫して認識することはできません。 大規模言語モデルでそれが区別できるかどうかは、トレーニングに使われたデータと、正しい情報が認識され「記憶」されたかどうかに依存します。 正解が、間違った情報や矛盾する情報の山に隠されていたら、モデルはそれを導き出す方法はないのです。

データの量を増やし、よりクリーンなデータを用い、そしてより大きいモデル使えば、問題が解決すると反論する人もいるかもしれません。 それは正しいかもしれません。しかし、生成LLMに0から100の間の乱数を求めた場合どうなるでしょうか。 回答が実際に乱数であると確信できるでしょうか。 この質問に答えるには、語彙意味論や記憶された事実を超え、LLMを超え、AIエージェントまで行く必要があります。 そうすればエージェントは、検証された手続きを使って実行可能なコードを構築し、それを別のプロセスに渡して実行させ、結果を処理してユーザーに回答を返すでしょう。

科学データに固有の課題

CASの科学者たちが理解しているとおり、科学データとはテキストだけよりも、はるかに複雑です。そして、ほとんどの問題は、1つか2つの質問だけでは表現しきれません。

科学の研究にAI主導のツールを使うときは、わたしたちは、どんな問題を解こうとしているのか、と自問する必要があります。 多くの問題は、言語または緩く構造化されたシーケンスを含むため、言語モデルは完璧に適合します。 しかし表データや分類データ、ナレッジグラフ、時系列データについてはどうでしょうか。 これらのデータは科学研究に必要です。しかしLLMでは必ずしもそれらを活用することはできません。 つまり、LLMだけでは分子研究のような用途に必要なレベルの具体性を提供できないということなのです。 代わりに、オーケストラがまとまった音を出すためには多数の楽器を必要とするように、科学ではまとまった結果を出すためにはAIツールボックスに複数のツールが必要なのです。

幅広さと深さを伴ったシステムアプローチ

LLM単独では科学研究に適していないとしたら、では何が良いのでしょうか。 それは、複数の種類のモデルを用いて特化した出力を生成させる、システムアプローチです。 言語モデルやニューラルネットワークを、従来の機械学習ツール、ナレッジグラフ、化学情報学、バイオインフォマティクス、さらにはTF-IDFなどの統計的手法と組み合わせて多層化することで、研究者はAI主導のプログラムにおいて、深くそしてニュアンスのある情報を含めることが可能になります。

こういったツールは、新薬分子の開発や新規化合物の創出などのタスクに必要とされる、具体的な結果を提供できます。 ナレッジグラフは、分子、反応、発表済みの論文、管理された概念など、既知のエンティティを確実に関連付けるグラウンドトゥルースとして機能するため、特に有意義です。理想的な使用事例では、「これは特定の種類の物質だ」と回答できるディープニューラルネットワークと、その正確性を検証するナレッジグラフを活用するものになります。 このようにして、科学研究に求められる信頼性の高い事実を得るのです。

この種のシステムアプローチは、本質的にはデータの信頼性を向上させるための事実確認や検証機能であり、専門的な用途で効果を発揮しています。 例えば、NVIDIAが最近リリースしたPrismerは、画像に関する質問に答えたり、画像のキャプションを提供したりするために設計された、ビジョン言語モデルです。 このモデルは、複数の小さなサブモデルをトレーニングする Mixture of Experts アプローチを採用しています。 このモデルがもたらす知識の深さのお陰で、大規模なトレーニングなしで質の高い結果を得ることができました。10倍から20倍のデータでトレーニングされたモデルに匹敵する性能を発揮しています。

Googleも同様のアプローチに取り組んでおり、そこでは汎用の「教師」言語モデルから知識を抽出して、より小さな「生徒」モデルに知識を与えています。 生徒モデルは、より深い知識を有するため、大規模モデルよりも優れた情報を提示します。7.7億のパラメータでトレーニングされた生徒モデルは、ある特殊な推論タスクにおいて、5,400億のパラメータを持つ教師モデルを上回りました。 より小規模のモデルはトレーニングに時間がかかる一方、コストが安く高速に実行できるため、その継続的な効率の向上に価値があります。

科学研究の改善

システムアプローチのもうひとつの成功例は、CASで私と同僚が開発したPaSE(特許類似性エンジン)です。これは、CAS STNextCAS SciFinderのユニークな機能を支えています。 このモデルは、ブラジルの特許庁である、ブラジル国立工業所有権機関(INPI)との共同研究の一環として構築されました。 調査員が手つかずの特許バックログに対処できるよう、膨大な情報を数分で処理できるように設計されたものです。

このソリューションには、GPTファミリーと同じ重要な機械学習技術を使用する言語モデルが含まれており、それにナレッジグラフや化学情報学、そして従来の情報検索統計手法など、追加の学習タイプのレイヤーが重ねられています。 PaSEは、CAS コンテンツコレクションTMに含まれる特許や学術論文のフルテキストなど、世界中の科学情報を使ってモデルをトレーニングすることにより、手作業で検索するよりも50%速く「先行技術」を見つけるために必要な深さと幅広さを実現しました。

特許庁で特に難しいのは、何かが存在しないことを証明することです。 「証拠が無いということは無いことの証拠にはならない」という言葉を思い浮かべればわかります。CASのデータサイエンティストは、特許サーチャーの専門家、ブラジルINPIチーム、および独自のAIツールの組み合わせと連携してモデルをトレーニングおよび最適化した結果、手作業での検索を40%減らして先行技術を特定することができたのです。 この性能、そして特許バックログが減ったことにより、2021年にPatent Information Users GroupStu Kaback Business Impact Awardを受賞しました。

科学における大規模言語モデルの前途

上記の経験からもわかるように、LLMは今後も科学研究において重要な役割を持ち続けるでしょう。しかし、一般に信じられているのとは逆に、このツールはあらゆる問題や疑問に対する万能薬ではありません。

私は、家の中の散らかった部屋、例えばクローゼットや屋根裏部屋の整理整頓という観点から、これらのモデルを考えると分かりやすいと思っています。 そういった部屋にあるものの整理方法は、人によってさまざまです。 すべてを色で分類して整理する人もいれば、貴重品をひとまとめにする人、または機能別に整理する人などもいるでしょう。 どの方法も間違ってはいません。しかしそれは自分が望む、あるいは必要とする整理の方法ではないかもしれません。 これは基本的にLLMの問題を表しています。LLMがある特定の方法で情報を整理しても、それは科学者や研究者が求める方法ではないかもしれないわけです。

タンパク質配列、特許情報、化学構造など、ユーザーが特定の結果を必要とする専門的な用途の場合、その特定の方法で情報を整理して処理するように、AI搭載モデルをトレーニングする必要があります。 最適なトレーニングと予測を行うには、ユーザーが望む方法でデータ、結果、変数を整理する必要があります。

そのデータの影響、その表現、科学における予測を向上させているモデルについてより詳しく知るには、CAS Custom Services のケーススタディをお読みください。 AIと化学において新たに登場している状勢について詳しく知りたい方は、 AIが化学にもたらすチャンスに関する最新のホワイトペーパーや、AIがいかに世界中の特許事務所の生産性を向上させるかを説明したリソースをご覧ください。

ウイルスとの戦いから腫瘍との戦いへ - mRNAワクチンをがん治療に活用する

CAS Science Team

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グローバル規模で増大するがんの負担

がんとそれに関連する死亡率の負担は、人口の高齢化と、がんの主要危険因子の有病率と分布の変化によって、世界中で急速に増大しています。 2040年には2,840万人ががんと診断されると予測されています。これは、2020年から47%の上昇となります。

最も診断数が多いがんは、現在は肺がんを抜いて女性の乳がんになっています。推定では2020年には230万人(11.7%)が新たに乳がんに罹患するとされており、次いで肺がん(11.4%)、大腸がん(10.0%)、前立腺がん(7.3%)、胃がん(5.6%)となっています。 がん治療における重要な進歩のひとつとして、チェックポイント阻害薬などの免疫療法があります。 この画期的な前進にもかかわらず、免疫療法はすべてのがんに効く万能薬となっていません。 これは、すべての腫瘍タイプが免疫療法の薬に反応するわけではないためです。それに、対抗機構が腫瘍の免疫回避や増殖につながる可能性すらあります。

現在、米国食品医薬品局によって承認されているmRNAがんワクチンは現在ありません。しかし、チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(メルク社)との組み合わせにおける治験用ワクチンmRNA-4157-P201(モデルナ社)は、完全切除後の高リスク黒色腫における補助療法として画期的治療薬に指定されました。 mRNA ワクチンがCOVID-19で成功したことから、研究者はmRNAワクチン技術ががん細胞の治療に応用できると確信しています。 では、がん治療にmRNA療法が取り入れられる日は近いのでしょうか。

一巡したmRNAワクチンとがんの関係

多くの人にとって、COVID-19 mRNAワクチンは一夜にして開発されたもののように見えるかもしれません。 しかし、これらワクチンの迅速な設計、製造、そしてテストは、インフルエンザやサイトメガロウイルス、そしてジカ熱用のワクチンといった基盤となる長年の研究がなければ不可能でした。

1995年、画期的な研究によって、カルチノ胚性抗原をコードするnaked RNAを筋肉内に注射すると、マウスに抗原特異的抗体反応が誘発されることが示されました。 その翌年には別の研究で、mRNAを導入した樹状細胞を腫瘍を持つマウスに注射すると、T細胞免疫反応が誘導され、腫瘍の成長が抑制されることが示されたのです。 この研究が、mRNAをベースとした技術の実現可能性、有効性、安全性を探求する数多くの研究へ道筋をつけました。 しかしながら、最近までは、その不安定性、自然免疫原性、非効率的な生体内送達などが原因で、mRNAワクチンや治療への応用は限られていました。 研究者たちが直面した大きな課題は、mRNAをどのようにして必要な場所に届けるかということでした。mRNA配列を何らかの形で保護せずに体内に注入すれば、異物として認識され破壊されてしまうだけです。

そんな中、新型コロナウイルスSARS-CoV-2に対応するために行われたmRNAワクチンの急速な開発のお陰で、mRNAワクチンの使用は研究室から病室へと加速されます。 例えば、ファイザー/ビオンテック社とモデルナ社のワクチンは、mRNAを標的細胞に送達する上で脂質ナノ粒子(LNP)の利用が有効であることを実証しました。 2019年末、SARS-CoV-2の流行を受け、両社ともmRNA治療に関する論文を発表、すると関連特許出願が世界中で急速に増加しました。 2020年以降は、論文数は急速な増加傾向を示し、2021年には3,361件、2022年には5,000件近くにまで増加しています。 特許出願件数も2020年以降ずっと増加傾向が続き、2021年に382件に達しているほか、2022年には510件に増加すると推定されています(図1)

mRNA治療 論文と特許件数 図1
図1. mRNA治療法とワクチンに関する論文(左)と特許ファミリー(右)のグローバルな公開傾向。

COVID-19 mRNAワクチンが成功したことで、mRNAプラットフォームが他の感染症だけでなく、がんにも拡大できる可能性が明らかになりました。 さまざまなウイルス研究から得られた洞察が、今やがんワクチンの研究に役立つ可能性が出てきています。つまり一周して、出発点に戻ってたきたと言うわけです。

免疫系をリクルートする - mRNAがんワクチンの仕組み

がんワクチンにおけるmRNAの応用範囲は広く、そこで研究者はがん免疫療法に向けて以下を含むいくつかの戦略を模索しています。

  • 抗原提示。 mRNAワクチンは、がん抗原を抗原提示細胞(APC)に送達し、主要組織適合性複合体クラスIおよびクラスIIを提示します。
  • アジュバント機能。 mRNAは、APCにより発現するパターン認識受容体に結合することで免疫活性化を刺激します。
  • 抗原受容体。 mRNAは、キメラ抗原受容体(CAR)やT細胞受容体などの抗原受容体をリンパ球に導入します。
  • タンパク質の生産。 mRNAは、トール様受容体、ケモカイン受容体、共刺激性リガンド、サイトカイン、ケモカイン、そしてさまざまなモノクローナル抗体などの免疫調節タンパク質を、各種細胞サブセットに発現させることができます。

mRNAがん治療は間もなく実現するのか

ジェネンテック社、CureVac社、そしてモデルナ社などの企業は、標的腫瘍に対する免疫反応を誘発できるネオエピトープをコード化したmRNAワクチンを開発しています。 mRNAワクチンは、単剤療法としてまたは併用療法の一環として用いる形で、膵臓がん、大腸がん、黒色腫などさまざまなタイプのがん患者を対象に数十件の臨床試験が実施されています。 いくつかの候補薬で第2相臨床試験が始まっており、黒色腫、非小細胞肺癌、そして前立腺癌で良好な有効性が示されています(表1)。

表1. がんの臨床試験中のmRNAワクチン(第2相以降)

ワクチン
CAS 登録
番号®
対象
疾患
抗原 企業
Autogene cevumeran  2365453-34-3 黒色腫、
大腸
がん
患者特異的な
新抗原
ビオンテック
mRNA 4157 2741858-84-2 黒色腫 最大34の新抗原 モデルナ
BNT 113 2882951-85-9 PV16+頭頸部扁平上皮がん HPV16由来の腫瘍抗原(がんタンパクE6およびE7) ビオンテック
CV 9202 1665299-76-2 非小細胞肺がん NY-ESO-1、MAGE C1、MAGE C2、TPBG(5T4)、サバイビン、MUC1 CureVac
CV 9103 2882951-83-7 前立腺がん 前立腺がん関連抗原4種類の混合 CureVac
SW 1115C3 2882951-82-6  非小細胞肺がん、食道がん 患者特異的な新抗原 Stemirna Therapeutics
BNT 111  2755828-88-5  黒色腫 黒色腫関連抗原4種類の混合 ビオンテック

mRNAがんワクチンが研究者間で関心を集めている一方で、歴史的にはほとんどのがん研究はmRNA治療法に焦点を当ててきており、現在でも以下を含む、多岐にわたる候補薬が臨床開発段階にあります(表2)

  • TriMix-MEL、(eTheRNA Immunotherapies社)。がんに対する主要免疫細胞を活性化するmRNAを3種混合したもの。
  • mRNA治療薬、(ビオンテック社)。複数のがんに発現するタンパク質のクローディン18を標的とするモノクローナル抗体をコードするもの。
  • LNPでカプセル化されたmRNA、(MedImmune LLC社)。腫瘍内注射で投与することで局所的にインターロイキン12(IL-12)産生を促し、抗腫瘍免疫を誘導するように設計されている。

表2. がんの臨床試験中のmRNA治療薬

mRNA薬剤名 CAS 登録番号 対象疾患  企業
TriMix-MEL、ECL-006、E011-MEL 2877674-59-2 黒色腫 eTheRNA Immunotherapies
BioNTech-1、BNT 141、BNT-141、BNT141 2877707-22-5 固形腫瘍 ビオンテック
BNT-142、BNT142  2877707-34-9 固形腫瘍 ビオンテック
BNT-151、BNT151 2877709-82-3  固形腫瘍 ビオンテック
BNT 152、BNT152 2877709-92-5 固形腫瘍 ビオンテック
BNT 153、BNT153 2877709-93-6 固形腫瘍 ビオンテック
MEDI1191、MEDI-1191 2877712-03-1 固形腫瘍 モデルナ
mRNA-2752 2878461-50-6 固形腫瘍 モデルナ
SAR-441000 2879301-17-2 固形腫瘍 Sanofi、
ビオンテック
SQZ-eAPC-HPV 2879306-51-9 HPVおよび固形腫瘍 SQZ Biotechnologies

mRNAがんワクチンの実現に向けて

近年、mRNAがん技術は大きな進歩を遂げました。しかし根本的な課題がいくつか残っています。 まずmRNAがんワクチンは、標的組織/臓器に適切な親和性を持つ専用のパッケージングと送達システムを必要とするということがあります。 研究者は現在、これに対してはオリゴヌクレオチドに臓器の標的部位を結合させるなど、さまざまな手段を検討しています。 mRNA送達で最も研究されている媒体はLNPです。しかし細胞毒性の懸念と循環時間が比較的短いことから臨床応用が妨げられてきました。 そのため、mRNAカーゴのバイオアベイラビリティ、負荷、放出を改善するために、さまざまな代替スマート送達システム(エクソソームなど)が検討されています。

ただし、mRNAカーゴ送達の成功だけでは不十分です。 最大限の効果を得るため、生体内でタンパク質発現を高める手法も研究されてきました。 mRNAのすべての部分(キャップ、5′領域、3′領域、オープンリーディングフレーム、ポリアデニル化テール)が、タンパク質発現増強のために最適化できます。 そしてこの領域では、化学修飾ヌクレオシドが有望になっています。

タンパク質の発現量に加えて、mRNAワクチンの重大な課題として、タンパク質の産生期間が比較的短く、反復投与が必要なことが挙げられます。 RNAの寿命を延ばし、タンパク質の全収率を上げる戦略として、自己増幅型や環状のmRNAが研究されています。

まだ多くの課題が残されているものの、mRNAワクチンは、単独またはチェックポイント阻害剤など既存の治療オプションと併用することで、何種類かのがんの治療のための汎用性の高い臨床オプションとなっています。 最初のmRNA治療薬の発表が期待される一方、がんというグローバル規模の負担に取り組む中で、多数の革新的な戦略から生み出されてくる成果自体も、注目に値します。

mRNAワクチンと治療薬についての詳細は、ACS Pharmacology and Translational Science誌に掲載された弊社の査読付き論文をお読みください。

 

 

ファーマは肥満を克服できるのか

Terra Williams , CAS Content Scientist

male hands holding insulin pen

 

     


 

 

 

 

ウゴービという、週1回服用する減量薬を宣伝する鮮やかな緑色の広告が、ニューヨークの地下鉄のいたるところで見られます。 かと思うと、各誌のヘッドラインを飾っているのは、著名人がオゼンピックという薬のパーティーを主催しているという噂です。 そんな中、マンジャロなる新参者が登場。こちらはSNSで注目を集めています。このようにして、最近FDA(米国食品医薬品局)に認可された新薬が、グローバルな人気の波に乗っています。

もともとは2型糖尿病治療薬として開発されたGLP-1受容体作動薬のオゼンピックウゴービ(いずれもノボノルディスク社製)、および併用薬であるマンジャロ(イーライリリー社製)は、減量薬としての潜在的な効果を求める顧客からの需要増加により、品不足に陥っています。 肥満は世界人口の約3分の1に影響を及ぼす世界的な問題となっており、2035年には50%を超えると予測されています。 その結果、冠状動脈性心臓病、高血圧、2型糖尿病など、さまざまな病気のリスクが高まっています。

この危機的状況の拡大を受け、GLP-1受容体作動薬と、GIP類似化合物および関連治療薬との併用が、肥満とその関連疾患に対する有望な治療選択肢として浮上してきました。 これらの科学的アプローチの相違点、そして今後の減量の方向性などを理解しておくことは、この分野でのイノベーションが新たな一歩を踏み出す上で非常に重要になります。

身体が血糖値を調節する仕組み

身体には血糖値のバランスを保つ仕組みがあります。 体内の血糖値が低くなると、膵臓のα細胞はグルカゴンというホルモンを生産し、肝臓にもっと糖分を血液中に放出するよう指令を出します。 反対に血糖値が高くなると、膵臓のβ細胞はインスリンを分泌し、脂肪や筋肉、肝臓やその他の体組織で糖を利用したり蓄えたりするのを助けます。

胃抑制性ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、腸から分泌される2種類のホルモンで、インスリン産生の調節に大きな役割を果たすため、肥満や糖尿病において重要です。 インスリンが必要なのは、血糖値のバランスを保つためです。 体内の血糖値が低くなると、膵臓のα細胞はグルカゴンというホルモンを作り出し、もっと糖を作るよう肝臓に信号を送ります。 反対に血糖値が高くなると、膵臓のβ細胞はインスリンを分泌し、体のエネルギー消費や貯蔵を助けます。

GIPはインスリンとグルカゴンの両方の産生を刺激し、インスリン産生細胞を細胞死から守ると同時に、その増殖を促進します。 GLP-1は、膵臓からのインスリン分泌を刺激する一方で、グルカゴンの分泌を抑制します。

薬剤によってどのように肥満を抑制するのか

現在、糖尿病と肥満を両方抑制する薬剤には、いくつか種類があります。 セマグルチド(オゼンピックやウゴービの商品名で販売)などのGLP-1受容体作動薬は、GLP-1の作用を模倣することによってインスリンの産生を活性化します。 チルゼパチド(商品名マンジャロ)はGLP-1受容体作動薬とGIP類似化合物を組み合わせたものです。 GLP-1受容体作動薬は細胞内のグルカゴン様ペプチド-1受容体に結合し、GIP類似化合物はGIPの機能を模倣し、どちらもインスリンの産生を刺激します。 最近では、GIP、GLP-1、グルカゴン作動薬であるレタトルチドという新薬が登場し、初期の臨床試験で有望な結果が得られています。

以下は、減量用として検討されている薬剤とGLP-1受容体作動薬の概要です。

    1.  セマグルチド(ウゴービ、オゼンピック)などのGLP-1受容体作動薬

    2.  併用アプローチ

           a.チルゼパチド(モンジャロ)などのGLP-1およびGIP受容体作動薬

           b.レタトルチドなどのGLP-1、GIP、グルカゴン受容体作動薬

これらの減量薬を支える科学

GLP-1およびGIP受容体を活性化すると、体内のグルコースと脂質の代謝が促進されます。 これにより、食欲の減退および消化速度の低下が生じる一方で、脂肪症を低下させて肥満に関連する疾患のリスクを低下させる能力が強化されます。 主な効果は以下の通りです。

  • インスリン分泌。GLP-1とGIPは、血糖値が高い時に膵β細胞からのインスリン分泌を刺激することができます。 これは血糖値を下げるのに役立ちます。
  •  
  • 胃排出。GLP-1とGIPは、胃から腸への食物の移動を遅らせることができます。 これで、満腹感を長く感じることができ、食欲とカロリー摂取を抑制できます。   
  • 食欲調節。GLP-1とGIPは、空腹と満腹のシグナルを制御する脳領域に影響を与えます。 これにより、空腹感を感じにくくし、満足感を高めることで、食欲を減退させ、食物摂取量を減少させることができます。  

併用アプローチの重要性

併用療法で考慮すべき重要な要因は、相乗効果です。 相乗効果とは、複数の薬剤を組み合わせることによって、それぞれの薬剤の個々の効果の合計よりも大きな効果が得られることです。 薬物療法におけるGLP-1受容体作動薬およびGIP類似化合物を併用することがなぜ重要かというと、そうすることで2つの主要なホルモンの一方だけが影響を受けるのではなく、両方の分子経路が影響を受けるためです。 セマグルチドなどの単剤療法では、ヒトやマウスでの試験で、薬効の一部に耐性が生じることが判明しています。 併用療法だと、複数の経路を標的とするため、身体が薬剤の効果に対して耐性を獲得するのを防げる利点があります。 併用療法で考慮すべきもうひとつの要因は、投与量です。 併用療法は、個々の薬剤の投与量が少なくて済む場合があるため、特定の副作用を回避できます。

臨床試験の結果と実際の結果

いくつかの臨床試験において、GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬配合剤が、プラセボや他の治療薬と比較して糖尿病および/または肥満症の人に大幅な体重減少をもたらすことが示されています。  

New England Journal of Medicine誌に掲載された注目すべき研究では、セマグルチドチルゼパチドの有効性が強調されています。 1961人の治験参加者を対象とした二重盲検試験では、食事療法および運動療法にセマグルチド2.4mgを併用した結果、68週間で半数の参加者で体重が15%減少し、3分の1の参加者で20%減少しました。 一方で、生活習慣の改善のみを行ったプラセボ群の体重減少は2.4%でした。 2539人を対象とした別の研究では、チルゼパチドを5mg、10mg、15mgの用量で投与し、生活習慣への介入と併用したところ、各投与量の参加者のそれぞれ15%、32%、36%で、体重が25%以上減少しました。 生活習慣への介入のみのグループで体重が減少したのはわずか1.5%でした。

2型糖尿病患者を対象にチルゼパチドとセマグルチドを比較した研究では、チルゼパチドを投与した患者の82~86%が糖化ヘモグロビン値を7%未満まで低下させたのに対し、セマグルチドを投与した患者では79%だったことから、チルゼパチドが優れていることが示されています。

加えて、GLP-1、GIP、グルカゴンなどの標的を組み合わせた薬剤では、さらに注目すべき影響が観察されるようです。 イーライリリー社の第2相臨床試験から得られた最近の結果では、被験者の体重が平均で約24%減少しています。 規模の大きい第3相臨床試験でこれらの結果が実証されれば、拡張してきているイーライリリー社の減量薬製品のポートフォリオが大幅に強化されることにつながるかもしれません。

GLP-1受容体作動薬やGIPベースの治療法の人気と影響

メディアによりセンセーショナルに報道されたオゼンピックは、米国で処方が急増しました。 過去1年間で、オゼンピックの処方は111%増加し、2017年の承認以来、2型糖尿病市場においてトップの薬剤となっています(図1)。 オゼンピックは主に2型糖尿病で処方されていますが、2023年まではウゴービが不足していたため、慢性的な体重管理にも使用されています。

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図1:医薬品別の処方数

2022年5月に米国で「マンジャロ」の商品名で承認されたチルゼパチドは、イーライリリー社の2023年第1四半期の売上高、5億3760万ドルに貢献しました。 同薬は肥満症管理治療薬として米国FDAのファストトラック指定を受けているため、今後はセマグルチドの競合薬となることが予想されます。

文献の発表トレンドと特許分析

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図2. CAS コンテンツコレクション™ におけるセマグルチド関連の学術論文および特許文献の年次推移

CAS コンテンツコレクションでセマグルチド関連の論文を検索したところ、論文数は2019年から2022年の間に2倍以上に増加していることがわかりました。 マグルチド関連の特許も2011年に2件だったのが、2022年には109件に増加しています。 セマグルチドの人気が高まったことで、特に減量管理における研究において、さらなる出版物の増加が予想されます。

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図3 CAS コンテンツコレクションにおけるチルゼパチド関連の学術論文および特許文献の年次推移

チルゼパチドは、より新しい薬剤であることから、CASコンテンツコレクションによると、過去10年間の論文数は多くありません。 ただし、2021年に34件だった論文数は、2022年には72件に増加しています。 チルゼパチド関連の特許もこの間に増加しています。 より多くのチルゼパチドの臨床試験が完了し、減量管理薬としてFDAの承認を得るに伴い、論文も急増することが予想されます。

パイプライン分析

糖尿病と減量のための新薬開発は、現在活発に研究されている分野であり、いくつかの有望な候補薬が臨床試験のさまざまな段階にある中、ノボノルディスク社では、経口のセマグルチド薬が開発パイプラインにあります。 経口セマグルチドはまだフェーズ1段階で、糖尿病管理用の25mgと50mgのセマグルチドはフェーズ3段階にあります。 さらに、経口GLP-1/GIP併用糖尿病治療薬のフェーズ2試験が進行中です。 チルゼパチドは現在、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療薬としてフェーズ2試験が、そして駆出率維持心不全(HFpEF)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、肥満症における罹患率と死亡率、心血管転帰を対象としたフェーズ3試験が進行中です。 チルゼパチドは慢性肥満治療薬として早期承認され、薬事承認が間近に迫っています。 イーライリリー社もまた、GIP/GLPコゴニストペプチドを糖尿病治療薬として第1相試験中です。

今後の展望

肥満と2型糖尿病の有病率が世界的に上昇を続ける中、GLP-1受容体作動薬とGIPベースの治療薬は、論文発表やパイプライン開発が増加しており、有望視されています。 その成功と影響は、処方数の増加や臨床試験での良好な結果報告からも見て取れます。 減量管理における次の最前線は、モンジャロやレタトルチドの初期臨床試験といった、現在の薬剤を含む併用療法になるでしょう。 身体の自然なホルモン反応を利用することで、これらの薬剤は減量と代謝管理への新しいアプローチになっているだけでなく、他の疾患治療にもつながる可能性があります。 新たな治療薬や主要な進歩の詳細は、RNA治療薬エクソソーム脂質ナノ粒子など詳しいInsight Reportをご覧ください。  

 

 

バイオマテリアルにおける最新トレンドトップ10

CAS Science Team

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中国杭州の西湖大学と協力して編纂された本CAS Insights Reportでは、生体システムと相互作用するバイオマテリアルの未来を最定義する、新しいハイドロゲルや抗菌薬、脂質ナノ粒子、エクソソームなどの状勢に焦点を当てます。 このレポートは、バイオマテリアルに関わる多数の産業や学問領域において、どういった新しい機会や最新トレンドがあるのか、そして今後の主な課題は何なのかなどを明らかにします。 詳細は、以下からレポートをお読みください。

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